おれは、めんどくさがりながらも、職員室に日誌を運んでいた。
 職員室に行くには、音楽室の前を通る必要がある。
 …ポロン…ポロン…。
 あ、ピアノの音だ。
 只今、第3音楽室前通過中。
 まぁ、音楽室だからな。
 気にせず、職員室へ向かった。

 

ピアノ

 
 「失礼しました。」
 ピシャン。
 やっとメンドクサイことが終わった。
 さっさと教室帰って、荷物取って、それから部活。
 早く行かねぇと、キャンキャンうるさいやつが居る。
 ♪〜…
 あぁ、またピアノの音だ。
 ん?!
 おれは、ピタッと、第3音楽室の前に立ち止まった。
 待てよ……。
 第1・2音楽室は音楽の授業で使われている。
 しかし、第3音楽室は使われていない…ハズ。
 なので、第3音楽室には変なウワサがある。
 …ピアノの音が流れてくる。っていうウワサ…。
 しかも、意外と上手いピアノ。
 ♪♪♪〜…
 おれの心臓は今、バクバクだ。
 「お、男として逃げるワケにはいかねぇよな…。」
 自分でも変な理屈だと思う。
 けど、正直気になるし?
 ガチャッ!!
 「あ!」
 一気に、体の力が抜けた。
 「宍戸さんじゃないですかVv」
 「何だよ、お前かよ。」
 幽霊じゃなくて、長太郎だった。
 ホッとしたけど、少し残念。
 「何やってんですか?」
 「そりゃ、こっちの台詞だ。」
 「あぁ、おれは、ピアノの練習です♪」
 見りゃわかるよ。
 「ほら、今度、合唱コンクールがあるじゃないですか?」
 あぁ、ナルホド。
 「ピアノ担当の鳳くんか?」
 「そーいうことです♪」
 ポロロン♪
 「……………。」
 おれは長太郎の弾く歌を聞いた。
 マジで上手い。
 「ししどさーん?」
 「なんだよ。」
 弾きながらこちらを見て、話しかけてくる。
 おれには絶対、無理だ。
 「おれ、上手いでしょー?」
 「ハイハイ、めっさ上手いわ、自分ー。」
 「忍足先輩のマネしないで言ってくださいよー。」
 「…あーん、上手いんじゃねぇの、鳳?」
 「宍戸さん、壊れちゃイヤですよー!」
 笑いながら弾いてる。やっぱ、おれには無理だなぁ。
 「…ね、宍戸さん?」
 演奏が強制終了されて、話しかけられた。
 「ぁ?」
 「おれのこと、惚れ直した??」
 …………………。
 「ばか?」
 「えー、直してくんないんですか?」
 「ピアノが少々、上手いくらいで?」
 めっちゃ、上手かったけど。
 おれの口は憎まれ口です。
 「じゃぁ、宍戸さんは弾けるっていうんですか?!」
 膨れっ面の犬が迫ってきた。
 「弾けるわけ、ないじゃん。」
 自分でも驚くほどの口。
 「じゃ、惚れ直させてあげますヨ♪」
 「なにで?ピアノじゃ、惚れ直さねぇぞ?」
 直したけど。それは秘密で。
 「おれ、上手いのはピアノだけじゃないッスよ?」
 「は?」
 ぐい。
 腰を引き寄せられた。
 「きゃぁ、鳳くんが変なことしようとするワ。」
 ぷっと長太郎は、吹き出した。
 「今度、そーゆーのします?」
 そーいう、発想に持っていくか?!
 「やんねぇ!」
 ぽかっと、おれより上にある頭を叩く。
 「いて。」
 でも、痛そうじゃない。
 「ね、おれ、上手い?」
 「ピアノのことか?」
 「ううん、」
 ちゅ。
 「上手い?」
 「エロガキ。」
 「エロでもガキでもいいです♪」
 「おれの方が上手いんじゃね?」
 「ホント?じゃぁ、宍戸さんからやってくださいよ。」
 「あーほ。」

 
 その後、部活に予定以上に遅れてきたおれらには、跡部のお小言と忍足のひやかしが待っていた。

 

 

 

 合唱コンクールって時期、全然違いますよね。
 テキトー万歳!!(汗)
 こんどから、ちゃんと季節に沿ってやってきたいと思います。
 ちょたくんは、ピアノ以外に上手いのはテニスです。

 

 

 
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